日本鍛造協会について
ご挨拶
去る6月30日に行われました、一般社団法人日本鍛造協会、第40回理事会におきまして、八木会長の後任として代表理事会長を拝命いたしました、角田邦夫でございます。会長就任にあたりご挨拶申しあげます。
弊協会は、昭和22年10月の「鍛造会議所」設立から数えて73年目となる、歴史と伝統のある業界団体で、この度、私が永年リードされてこられた諸先輩の後を担うことになり、誠に身の引き締まる思いでございます。大変微力ではございますが、業界の発展及び次世代へ引継ぐために職責を果たして参りたいと存じますので、一層のご指導とご支援、ご協力を宜しくお願い申しあげます。
遡りますと、2006年に経済産業省で「素形材ビジョン」が取りまとめられ、その後「鍛造ビジョン」の策定、2013年には経済産業省素形材産業室で「新素形材ビジョン」が改めて取りまとめられ、我々鍛造業界の目指すべき次の6つの方向性が示されてきました。
- 世界で勝てる技術力を持ち、技術・技能を活かした攻めの経営
- 仕事の幅を広げて、付加価値を高めると共に多様な製品群への供給を行う
- 魅力的なものづくりの現場で魅力的な人材を、息長く育てる
- 公正で健全な取引慣行を遵守し、同業/異業との積極的な連携を行う
- 自らの仕事をもっと世の中に発信し、国民の目を振り向かせる
- 海外市場を取り込み「グローバル企業」として儲ける仕組み作りを行う
これらを実施するためには、企業が健全経営を行い、収益確保が出来るような仕組みを構築する必要があり、企業統合等を進め、素形材産業の低収益の構造を改善することが必要と示されております。
しかしながら、日本は少子高齢化で市場が縮小する中、鍛造業界の主要取引先である自動車産業では、自動車販売台数が昨年10月の消費税の引き上げ以降、前年同月を割り込み、産業機械、建設機械業界におきましても需要の低迷が続き、更に追い打ちをかけるように現下の新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、当業界は大変厳しい状況に置かれています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、今後の生活や経済活動、すべてがこの感染症と共存を意識した活動、即ち「感染症拡大を予防する新しい生活様式」が必要と言われています。三密、いわゆる、密閉、密集、密接を控えるようにすることが求められ、その結果、場所の移動が不要となり、移動時間が節約できるテレワーク、リモート会議などが実践され、コロナ禍終息後の仕事の仕方が大きく変わりそうです。
このような大変な時期ではありますが、コロナ危機をチャンスと捉え、日本鍛造協会の事業を見直す良い機会かと思います。協会の大きな柱である人材育成事業は、通信教育など一部を除いては、受講者に集まっていただく集合型の講習・研修が主になっております。集合型の人材育成事業は、実証実験をはじめ、現場見学、そして人脈づくりに非常に効果的と思われますが、この度のような緊急事態宣言や自粛規制が敷かれた状況下でも、一部の科目を受講できるような体制づくりを今後検討していく必要があるかと考えます。
先の理事会におきまして、「人材育成企画立案特別委員会」の設置が承認されました。これに先立ち、試験的な試みとして、適宜オンラインセミナーを実施いたしますが、この結果や上述の課題を踏まえ、会員各位のニーズにお応えできるようなコンテンツを構築、提供して参りますので、皆様のご理解、ご協力ならびにご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。
令和2年7月
一般社団法人日本鍛造協会
代表理事 会長 角田邦夫